模擬患者(Simulated Patient:SP) は、1960 年代、Barrows によって初めて医療者教育に導入されました。国内外において、医療面接・技能試験・身体診察の教育・コミュニケーション技能教育・客観的臨床能力試験(Objective Structured Clinical Examination:OSCE) 等、その活躍の場は非常に広範です。
模擬患者育成の背景
近年、コミュニケーション能力等、医師をはじめとする医療者の技能・態度分野の臨床能力や実践能力において、社会からのニーズが非常に高まりつつあります。この背景には、医療安全に対する国民の意識の高まりがありますが、医療者を育てる大学等、教育機関の責務も大きいです。質の高い医療者の育成の一つとして、模擬患者を用いた学習方法があります。医療者の臨床能力養成において、実際の患者に接する臨床実習前のシミュレーション学習は有効であるとされ、その学習効果などに関する研究は医学教育学分野等では近年、急速に注目を集めてきています。
会の発足の経緯と活動目的
これまでの模擬患者の背景のもと、模擬患者を利用した授業の拡大が見込まれることや、大学側の教育目標により沿った形の授業を展開するため、大学側で独自に模擬患者養成に踏み切ることにしました。また、模擬患者養成には多大な労力と時間を要することから、効率的な養成を行うべく、地理的に近くかつ国立大学法人であるという共通項を持った東京大学と東京医科歯科大学が、2008年より共同して模擬患者養成を行うことになりました。当初は、東京大学および東京医科歯科大学の医学部の実習・OSCEに貢献してきましたが、2014年度より、新たに東京医科歯科大学の歯学部OSCE(6年生対象)での活動も始まりました。なお本組織の名称は「つつじの会」としていますが、「つつじの会」の名称は、両大学の所在地である文京区の花「つつじ」に由来しています。
組織
当会は、東京大学および東京医科歯科大学の両大学に所属する組織です。会員は、両大学の下部組織(東京大学:医学部教務委員会、東京医科歯科大学:教育委員会)にそれぞれ所属する形となっています。